ラブレター/道草次郎
ったりした。可愛い弟か年下の甥っ子をおちょくるみたいに。
君のお父さんは大学の先生だったかな。それとも高校の古文の教師だったかな。そんなことも忘れてしまったけど、とにかく君は文章を書いたり読んだりするのがよく出来た。
ぼくはクラス対抗バレーボール大会の時の君に見とれていたことを白状するよ。揺れる胸元につい目がいってしまったこともやはり白状する。そして下校途中、他の男に取り囲まれた君に声をかけられず惨めな気分だったのも白状する。もちろん、嫉妬もね。
君はいま、どうしているんだろう。ぼくが中学二年の夏、なにもかもヤになって学校に行くことをやめてしまってからは君とは一度も会っていない。
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