humming over/星 ゆり
やせっぽっちの山をひきつれて
小銭ほどの野ばらをこえます
つないでいる手というのは
ひとにぎりに残った樫の木でしょうか
ばらばら、と山の根もとをこぼし
ぼたぼた、とやまびこが線路にも
木立淡く、にぎやかにおとされます
絵付けのような海ですが
あなたが叫んでください
何億年の身じろぎは、現在地遠く
あなたは行く当てなかった岩でした
人のあおむけと
本当はあたりひとつない現実を
すべらせた
最果て吹き込む測量士
春風は得意ですか
虫のふるえを聞かせて、耳底の魚が
たとえば海鳴りというものをつくります
意味はなくとも鳥がついばみに来たりします
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