恵みと恵まれない日々/こたきひろし
母から聞かされて初めて事の事実を知った
「あんたの父ちゃんは酷いんだよ。あんたの事一度だって病院に連れていかなかったんだからさ」
私はそれを半信半疑に黙って聞いていたが、私の足が先天的に欠陥なのは紛れもない事実だった。それをイヤと言うほどに実感してもいた。その長年の謎がいっぺんに解かれたのだった。
しかし今さら葬式の日にそんな話を持ち出してきた叔母を非常識と恨んだのは言うまでもなかった
自宅葬だった 見上げると
生家の上の空はいちめん青くて
怖いくらい静まり返っていた
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