恵みと恵まれない日々/こたきひろし
 
田んぼからは主食の米が
畑からは野菜 そして米以外の穀物

片田舎の農地
猫の額程の土地って表現しか浮かばない

山際に沿ってへばりつくように農家は点在し
それぞれが貧相な佇まいだった
僅かな田んぼと畑を分けあいながら
人間が土地に必死にしがみつくように暮らしていた


低い地面を川が流れていた
中央を切り裂くみたいに県道が通り抜けていた

家族は八人
祖母と両親と五人の子供
皮肉な事に辺りには大家族の家が多く存在した

まだテレビはなかった
あったのはラジオ
娯楽の乏しい時代

貧困の中での楽しみ
家族計画はないがしろにされたに違いなかった


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