思い出の中で記憶が揺れるのか 記憶の中で思い出が揺れるのか/こたきひろし
 
産まれたばかりは
眠っているか泣いてばかりいた

産まれてばかりも
夢を見るのか
見ないのか

記憶は何もない
まるで
無感覚か無意識の
暗闇だったから

誰かに
何者かに

私が最初に
この世界に抱き上げられた
その時
自分は単純に生きた肉片の集まりに
過ぎなかった
かも
解らない

そして
母親なる人の
胸に抱えられた肉の塊は

瞬く間に自立歩行した

成長は
言い換えれば
細胞の劣化

やがて生を死へと導く為の
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