Withdraw/大村 浩一
 
たそがれて
いちにちが終わる
いつかは
このくるしみも終わる
すくなくも
わたしが終われば終わるだろう
その時は
世界が終わる のではなく
世界のなかで
わたしが終わる


わたしが見ている夢のなかで
わたしが終わるのではなくて
くりかえし朝 あらわれることで
見せてくれた ひかり
そのなかで
わたしがあげた声はふるえ
わたしがうたう歌は続き
わたしであった骨はしばし残る
響いて
くり返しくり返し
未来への接線を描いて


わたしが終わるというのは
わたしが消えるのではない
世界が終わるのでもない
確かな球体の手触りから
わたしが離れて 立ち去るだけだ
輝いて
たそがれていく
いつのひかの
いちにち


2020年7月11日初稿 7月29日改稿 大村浩一
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