私に見えるものだけが真に見えるもの/
道草次郎
ら
そのひとは
きっとなくなってしまう
そして
そのひとが先に死んでも
ぼくは
なくなってしまう
だから
どうか
花の首飾りをください
どうか
花の首飾りという
ほんもののピストルをください
儀式だけが
やさしげです
原子となってしまうのです
意味とてなく
太古に生きてしまいたい
蘇鉄となって
フィクションに一番近くて遼い場所
骨に吹く風は誠実
十字架と
花の首飾りをください
戻る
編
削
Point
(4)