乱反射する生の所在地/ホロウ・シカエルボク
した連中がペンを取り綴り始めたころから、俺たちが抱えるテーマは変っていないんだ、それはきっと変わりようがないものなのさ、自由について知ろうとすれば、縛られていることを自覚しない限り始まりようがないものな、俺たちはいつか気化していく、水蒸気になって、天へ昇っていく、存在なんて曖昧なものだ、確かに身体はあるのかもしれない、けれど、それはいつか無くなってしまうものじゃないか、だから、言葉を使って魂を残そうとする、便利な時代さ、どれだけ年月が経ったって色褪せない、好きにやればいい、価値観はうつろう、現在など大事に抱えていることはない、俺たちの存在など御伽噺になる時代だってきっとやって来る、なあ、これはもしかしたら、記憶に挑もうとする行為なのかもしれないね、俺は時々そんなことを考えてしまうんだ、身体が失われても、感情が失われても、名前が失われても、更地に残された杭のようにこれが残ればいい、それはきっと俺の墓石よりも俺に似ているはずだから。
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