ブリッジ/たもつ
 

ブリッジをする君が足元
そして腕のあたりから
徐々に橋になっていく
なぜ君はブリッジをしていたのか
なぜ本物の橋になる必要があるのか
僕らは何を間違えたのか
かつて優しい嘘で慰めの言葉を吐いた口も
すでに橋の一部となり
閉ざされてしまった
明日の今頃には
きっと完全な橋になっている

翌日僕は欄干にもたれかかり
何を思い出すべきか考えていた
「お母さん、この橋、泣いているみたいだよ」
と言って子供が母親の元へと走っていく
「この橋、泣いているみたいだよ」
僕にはわからなかった


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