しずく指す先/
木立 悟
と振り返り
微笑みながら遠くへゆく
影の多い径の午後
降り来る何かに気付かぬまま
ただ手の甲を濡らし歩いている
網が網を覆う空
風と支流 静かな暮れ
重なる光の高さから
唱を引いた広さまで
罠を巡らす白い蜘蛛
見えないものの震えを聴く
けだものが研ぎ忘れた爪のはざまに
いつのまにか海はひろがり
光の板の還る場所
樹の上の家を指し示す
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