君の宇宙/梅昆布茶
君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし
君の想念はだれかのベッドにしのびこみ
不思議な夢を紡ぐだろうか
ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に
猫の骸骨を組み立てさせたり
社会実習を経験させたり
という授業をするような
革新的な教師の時代があったこと
論理哲学論考は僕には詩としてしか読めなくて
だったら記号の多い難解で数学的な詩人としてなら
理解できるかもしれないと思う
ちいさな日常のことばを紡ぐ詩が
いつか宇宙の涯までとどくのは確実なのだと
世界が成立していることがらの総体だとしたら
宇宙はきみの吐息を誰かが何処かで観測しているのかも
君の吐息が宇宙を変えるんだろうな
君が機嫌よければ宇宙もいつか機嫌をなおして
だってすべてこれは
君の宇宙なんだものね
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