無題/朧月夜
る、
だから、
こんなにも、こころは苦しくて、
吐いてしまいそうなくらいに、
梅雨の晴れ間はまぶしくて、
まるで、ひまわりのようね、
って、あのひとはいった。
あのひとはじぶん以外のすべてをわすれて、
それでもわすれきれないで、
まるでひまわりのようね、って。
とどかない想いはもう、
とどかないのです、
とどかないことを誰かが見届けたから……。
きっと安心して、
とどかない想いとして眠りにつくのでしょう。
こかげ、
こかげ、
あのゆらゆらと、
わたしはそこにいないかのように、
誰も観ていないかのように……ゆらゆらして。
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