蛇は何処へ/こたきひろし
 
昂ったに違いない

昼食を腹に流し込むと
いっせいに川に水を求めて集まった

疎開してきていた子供も
地元の子供も
女児も男児も皆下着姿だった

川原から浅瀬を歩いて上流の深みをめざした
そこは鬱蒼と樹木の生い茂る山肌を見上げる場所だった
薄暗く空気はひんやりとしていた
大きな岩があって飛び込みにうってつけだった

子供らの歓声があがる

岩のまわりは一段と水深があった
臆病な私には岩に登りそこから飛んだりは出来なかった
だから岩場から離れて水遊びをしていた
泳ぎが一向に上達しない子供だった
運動神経が極端に鈍い子供だった

それでも皆と同じように泳ぎた
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