四から二へ/気質として/ただのみきや
 
その絵具セットには暖色がない
静止したかのような独楽を見つめ
もう一人の自分と根比べするかのよう


沢山もらったその中から母は
かたちの良いものをひとつ除けた
「お兄ちゃん用に」
茄子にはもう種が入っていた


無いところからでもかき集め
人は再び建て上げる
しかし心の中身を失えば
周りの気持ちに運ばれる者
野ざらしの骨のように残される者
眼孔の虚ろに他人の涙を点眼しても


セセリチョウが青草にとまったまま
――小さな花のふり?
「欺くためでなく
花になりたい気分 ただそれだけ」


二本の柳の暖簾の間から 遠く
一本の真っすぐな杉が見える
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