文芸アラート/アラガイs
共同という文字が言葉で解釈されれば如何に脆いものなのか。この汚物に溢れた便所や流し台の散乱ぶりを見れば大凡見当はつくのであろう。ひとたび配水管の流れが止まればもうこの有様なのである。 by 多児真晴
通信社の受付に置かれてある鉛筆が無くなって困る、と彼女はぼやいている。
台の上にはその日の訪問者用にボールペンと鉛筆が置いてあるのだが、何故か訪問客は鉛筆で名前を記入しそのまま持ち去るそうだ。
‥‥鉛筆ならばもらってもいいだろう‥そんな風に考えてるのかしらね。
彼女は怪訝な表情をして、それでも少し刹那気な上目遣いでわたしを見つめるのである。
‥使う度に拭き取ってるんだろう?
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