「美道具」醜い器/アラガイs
きをする眼。その眼姿が腐りかけの葉物のように畑で萎えている。まるで死ビトのような眼ツキ。明日にでも死亡通知が渡されるのではないか。
遊びに来た甥や子供たちと一緒に写るときの笑顔、素肌。取り返すことができない浪費と時間。そして蘇る。あのときの萎え葉は厳格にしかも正直に鏡の中では反映されるのだ。 貧しく醜いのか、否そうではない。どんな物だろうと長い年月を風雨に曝されてしまえば朽ち果ててしまう。そういうものだろう。
特に寒冷も厳しい僻地の谷間、アタリもキツければキツいほど元々の姿は容易には保てない。人間や動物もそれと同じさ。心が貧しいのは経済的な理由だけではないだろう? 醜い生活に慣れてしまったからさ。 異界。悪魔の居場所だね、それは。 詩界。天使の鳩尾を写す鏡。 それは子供たちだけが手にできる魔法の「道具」なのさ。
戻る 編 削 Point(5)