除湿礼賛/アラガイs
‥今日は久しぶりにオーディナリー*な気分よ。 それにしては一丁まえにオメカシして‥彼女は軽く微笑みながら真向かいに腰を掛けた。1メートルと少しくらいかな。ズレかけたマスクを鼻先まで戻して僕が言うと彼女はマスクを外した。青い眼線/まるでハーフのような化粧を施していた。
広い店内に置かれた丸テーブルに客は数えるほどしか居ない。二人は窓際の席から同時に外に眼を向けた。ブラインドの隙間から覗くように、陽射しは間を取りながら濡れた路面に反射する。街には活気が戻りかけていた。ビルがレモン色の粒に輝いて見えたのは、炭酸からあふれ出る香りのせいだろう。雨は絹糸を引くような心細さでまだ降り続いていた。
ひと
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