とある二編/ただのみきや
 
教えてほしい
稲光が来てから衝撃が響くまで
ぽっかりあいた一瞬が永いのだ
死に始めてから死に終わるまで
見交わす顔がどこにもない




とある二
 
影を見ていた
影という名を持って呼ばれる
目や肌で感じる日向との差異
遮断された光の切り絵を
感覚と言葉による非在の存在を

「あると思えばあり ないと思えばない」

闇を見ていた
光の欠如につけられた名
見る目に映る闇 見えないを見つめ
見えないから瞑る
耳や肌や鼻がいっそう捉えようとした
見えないだけのなにかを

「わたしは『わたしはある』という者である」

千日手のチェス盤を距離や
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