毎日雨が降っている/山人
 
ったが、つまらない心配は無益だと悟った。
 いつもの年ならまだ十分雪が残っている箇所に、ほとんど雪は無く、そこにはいつもよりかなり早いタイミングで黄色い花が一面に咲き乱れていた。その黄色い花は一日だけ開花し、次々と日替わりで開花していく種だった。今日よサヨウナラ、明日よコンニチワという風に。
 あと三〇分で下山口に着く箇所では、つる植物の花に多くの虫が群がっていた。たくさんの花が密集したその植物の花は見向きもされぬ雑花で、登山者の被写体になることなど皆無な存在だ。そこにしかし、多くの生き物が命をつなぐために群がっている。見向きもされない世界があるが、そこにはしっかりとした生態系が維持されるとい
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