黄金挽肉炒飯殺人事件/墨晶
とも判断がつかない顔を構成している。課内で謎多いと云われるこの先輩の存在が普段から気になっていた、一方の大がらで未だひたすら頑健なだけの若い男は、本日はこの先輩のお供である。
「俺は別に美食家じゃない。大概の中華屋でチャーハンだけはハズレがない。そう思ってるだけだ。それに、この店は俺も初めてだ」
「ええっ、それじゃ・・なんか不安になってきた。そうか・・無難なものと云えば・・やっぱり僕もチャーハンにしときます」
不安な要素は他にもあった。二人の客がカウンターに座って未だ誰も注文を取りにあらわれない。そして無論、昼飯時であるにも関わらずこの二人の他、客はいない。更に云えば、飲食店らし
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