黄金挽肉炒飯殺人事件/墨晶
 
らしからぬ 「八角玄象館」と云うこの店の名がそもそも大いなる虚無とも混沌ともつかぬ不安の源泉であるのは云うまでもない。

「すいませーん、注文おねがいしまーす。すいませーん・・あの 先輩、もしかして準備中ってことはないですか」
「入り口に 『絶賛営業中』って札が下がってただろ」
「札・・ありましたっけ」
「いや、なかった」
「・・先輩、そもそも、ここ食い物屋ですか」
「なにか変か?」
「だって・・壁も天井も床も 黒いバッテンだらけじゃないですか。これって・・」


 ??

「カチ」 と素っ気ない音がした。

─ だめだ! だめだ! だめだ! またオレは [あっち]
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