踊ろう、マジな月の下で/ホロウ・シカエルボク
名もない
小さな舞台で
見すぼらしい役者が
2、3の台詞を与えられて
得意になって喋っているが
表現は容姿と大差なく
筋書きも
よくあるつまらないシロモノだった
俺は心底まで退屈していた
この演目に
最後まで付き合う気にはなれないだろう
「やっている」というだけで
関わっている誰もが満足している
20時間見つめたって
得るものはなにもないだろう
拍手が欲しいなら
それなりのものを用意するべきだ
数年前のデヴィッド・ボウイ
80年代のヒットソングを歌っていた
長い髪を始終横へやりながら
煙草を吹かし
面倒臭そうに
彼は果たして
もうすぐ死んでしま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)