ノート(57Y,6・21)/
木立 悟
白い肌の巨大な魚は
まだ窓際に横たわっていた
今になって気付いたことは
目だと思っていたところが模様で
模様だと思っていたところが目だということと
魚は最初から
こちらを見ていなかったということだ
身体じゅうにある無数の目は
ひとつとしてこちらを見ていなかったのだ
消えては現われ
消えては現われながら
魚は今日も
目をそらしつづけている
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