そのサラウンドで/竜門勇気
て
できっこないぜ
わかっちゃだめだったんだ
そう生まれてこなきゃだめなんだ
当たり前にコーヒーを飲んで笑って
当たり前に日が暮れたら散歩に出かける
そうやればよかったみたいだなんて
気づくやつはきっとどこいったってだめなんだ
黙ってへしゃげている
どっかの花火が燃え尽きて
でかくて影みたいな色のバケツに突っ込まれる
はしゃいだ大人が草むらを踏み潰す
小さなアリたちと一緒に
へしゃげた場所に
潰れていった奴らの匂いがやってくる
星の光がきつい
お前も平等だといって
丈夫な上着も温かいシャツも
すべて奪って笑っている
一つ、二つ
剥ぎ取られたものの
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