赤く塗れ/ホロウ・シカエルボク
 
部屋の中で雨が降り続けているみたいに思えるのは、俺の血が滴り続けているからさ、いや―自傷趣味や頸動脈切断とか、そういう類の話じゃない―俺の血はいつだってこんなふうに、行場を失くして沸騰して飛び出したがっているのさ、なにも特別なことなんかじゃない、昔は…自分は少し異常な人間なのではないかと感じたこともあった、けれどそうじゃないんだ、俺はいつだって、俺自身の人生にこだわり続けているだけなのさ―適当なものに乗っかって知ったような顔なんて出来たことがないしやりたくもない、それだけさ―その、活火山のような欲望のことが理解出来ないうちは結構な苦労をした、周囲に居たのはいわゆる一般的な―常識的な、ではない、念の
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