ハーメルン2丁目のコンビニ深夜2時/チアーヌ
 
で食べてしまう

笛吹き男はおにぎりを食べない
そしてわたしに差し出す
わたしはそれも食べる
とてもとても
飢えていた
だから
おいしい

男が笛を吹き始めた
メロディーはd-moll
深夜の住宅街を踊りながら
笛吹き男は進む
わたしも踊りながら追いかける
悲しいメロディーなのになぜか
楽しくて楽しくて
楽しくて

気がついたらわたしの後に
たくさんの女の人が続いてる
みんな笛を聞いて
家を出てきたんだね
もう帰らなくてもいいんだよ
楽しいね
楽しいね

もう街は遠くなったね
どこにでもあらわれるコンビニの前を通り
今日も深夜2時おにぎりは売り切れた
3時半の補充を待つばかり
笛の音は心地よくわたしたちを誘うよ
踊りながら行こうよ
誰も知らないところまで行こうよ
もう誰もいないところまで行こうよ
笛吹き男と
一緒に



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