独白は灯りの真下を避けて/ホロウ・シカエルボク
 
葉のやり取りがあたまのなかで行われていなければならない、そうして動かしてみて初めて、思考は、感情は、言葉は意味を持つのだ、見たことがあるだろう、ひとことだけですべてを終わらせようとする人間のなんて間抜けなことか、彼らは知覚を動かすということを知らない、パブロフの犬のようにある条件下でおなじ動作を繰り返すだけのことだ、そんなことはそう―犬にだって出来ることなのだ、犬にでも出来ることを彼らは自信満々で繰り返しているというわけだ、憐れんでやってもしかたがない、彼らはそれを正しく理解することが出来ないのだから、おれはその先ということについては多分に自覚的ではあるけれど、そこで得る具体的なもろもろについては一切の感想を持たない、ただただ手当たり次第に抱え込むのだ、それらはある時勝手に知るべき瞬間というものを察知して、瞬きの間に脳裏に現れる、ああ、あのときのこれはそういうことだったのか、とおれは理解することが出来る、貪欲であっても無頓着でいなければならない、でないと意欲によってがんじがらめにされてしまう、だからおれは名前をつけない、いつだってやつらは、時が来たら勝手に喋り出すからさ。


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