ロケット/
カンチェルスキス
車の音も消え
電灯の数も減ってきた
香り鼻腔にたどりつく花の名前も
思い出せない
ガソリンスタンドの光が
日曜日の朝の教会みたいに見える
おれは宗教なんて信じないし
洗礼の効果だって信じない
だけどその光に照らされると
懺悔する気になった
通り過ぎると
おれは安心した
何も良くならないんだと
思い込むことができた
ほどけた靴紐を結んだ
おれの頭の中は人間のことで
いっぱいだった
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