周辺/カンチェルスキス
 





 押し黙る夜の堤防の下をおれは黙って歩き
 明滅する観覧車の明かりを地面で確かめる
 全部知ってる色だから
 おれはとくに何も言わない
 地面に食い込んだおれの影が
 近づいたり遠ざかったりする
 地面とおれの距離はいつも変わらない
 観覧車は何周まわったら満足するんだろう
 堤防の向こうの海が燃えたら
 はしゃぐおれがいる
 焦げつくまで
 見届けるおれがいる


 暗がりに倒れた自転車を跨いだら
 明るいほうへ行くには
 手遅れだとおれは感じた




 
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