破舟/
ガト
その昔
長くて
つらい夜を
越える舟が無くて
夜に溺れた
その岸には
誰もいなくて
忘れるほど遠い年月
そこで沈んでいたの
人の言葉を忘れ
人の心を忘れ
命のことさえ忘れたとき
突然夜が明けた
朝日の当たる岸では
旅人が
ただいまって言った
戻る
編
削
Point
(2)