エルベレス/竜門勇気
 
二人で笑った

真夜中の内側でも
時計がどうあろうとも
僕らは日曜日の中で生き続ける
二人の間に冷めた水が置かれている
どうやって生きてきたのか
どんな傷がここまで歩かせてきたのか

痛みがにこやかに踵を打った
立ち止まれない
僕が通り過ぎる姿を
驚いたように
少し笑うように
声をかける人々の
面影と手をつないで
追いすがる痛みは
きっと僕が産んだいつかの僕だ

僕は痛みに怯え
傷に悲鳴を上げて
この部屋に来た
僕らは終わりの日まで
日曜日の終わりまでここにいる
コーヒーカップになみなみ
カルキくさい水を飲んだ
驚いて声をたてる
コーヒーカップ
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