ピンク/カンチェルスキス
ほのかなピンクの縁取りが似合うものを
とりあえずキボーと名づけて
ドアが閉まらなくなった冷蔵庫に保管する
陥没したテレビ画面からヒーローが
助けを乞うて手を伸ばしている
三ヶ月前までは
助ける気になれなかったけど
海賊に襲われたら
石を投げてくれることだけ約束してもらい
その手を取ることにした
集めすぎたキーホルダーで屋根が
潰れそうになってても
雪が降ってるわけでもないから
この部屋はあたたかい
ベッドで眠る彼女の寝顔は
窓から漏れる光
大丈夫この世界は
やっとほのかなピンクに縁取られる
冷蔵庫に保管しようとしたけど
大きすぎて入りきらなかった
半分くらい保管して逃がしてやると
キャンキャンと世界は鳴いた
そのときの物音で彼女は目を覚まし
何の騒ぎ?て聞いたから
入れ歯になるのいつかなあと答えたら
バカね、と彼女は笑った
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