思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは/ホロウ・シカエルボク
開き、俺はあのサイのような木がしょぼくれている中庭へと落ちていた、中庭から廊下へと出るドアはなかった、つまり、もうこの木からなにかを見つけ出すしかないというわけだ…俺は胡坐をかいて木と向かい合った、木は俺の視線を避けているみたいに見えた、背後から強烈な視線を感じた、あのいくつものドアが開いて、何人もの透明な意識が、考え込む俺の背中を見つめているような気がした、きっと、振り返ってそいつらの顔を拝んでやろうなんて考えてはいけないのだ。
戻る 編 削 Point(1)