境界が歩いてるんです/ふく
春の境目 トンネルくぐりの途中です
ゆっくりと優しく風が帽子を連れていきます
強いのに、優しいと思えました
この国でも起きるのが遅い芽が
ようやっと、太陽に笑いかけます
「久しぶり、僕はまた新しいんだよ」
ふと気がつくと私は空気を吸ってるんです
きっとあなたが吸ってるのと同じ
空がつながっていて、でも私はつながってるかしら
小鳥がおしりを叩かれて飛び立ちます
そう、ゆっくりでもいい
飛ぶにはまず、羽ばたく練習をしなければいけないのだから
帽子をかぶった風が行きます
そう春の境目 まだトンネルくぐりの途中です
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