そんなことより大切な人生を/秋葉竹
 

小雨つづく六月、小さな
悲しみが路傍に立っている

嘘をつかれて、嘘を信じたのは
あなたの涙があまりに寂しげで

それが一番うそっぽいから
しずかに自死しようと歌った

私は私のことが嫌いだし
あなたの涙も好きじゃないんだ

そんなときその胸から
漏れだす声が聴こえるんだ

死にたいのか、殺したいのか
それがわからないままなのです

まるでむつごとを囁くような声で
そんな絶望が聴こえるんです

つま先みつめて立ち止まった
まるでレモンの飛沫の漂う空気の中

小雨つづく六月、小さな
悲しみが路傍に立っている

私を呪うかのような目つきで
幸せになるなんて許さないと歌う

そんなことより大切な
愛を、

私は、
この手から砂金みたいに

キラキラと、
こぼしてしまったというのに



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