まぼろしの午後/ホロウ・シカエルボク
 
そいつじゃなければ
たぶんどうにもならないだろう
なにも
痛みなどないけど
おそらくは

傷を感じ過ぎた

空は
押しつけがましい交響楽団だ
徹底的に音譜を叩きつけてくる
ドイツあたりのホールを覗いてみれば
こんな演奏が聴けるかもしれないな

乾いた口のなかで唾を転がして
あしもとに吐き捨てた
逃げ水に飛び込んで
どこにもない影になろう

夏の終わりには
誰かが気づいてくれるだろう

戻る   Point(4)