まぼろしの午後/
ホロウ・シカエルボク
そいつじゃなければ
たぶんどうにもならないだろう
なにも
痛みなどないけど
おそらくは
傷を感じ過ぎた
空は
押しつけがましい交響楽団だ
徹底的に音譜を叩きつけてくる
ドイツあたりのホールを覗いてみれば
こんな演奏が聴けるかもしれないな
乾いた口のなかで唾を転がして
あしもとに吐き捨てた
逃げ水に飛び込んで
どこにもない影になろう
夏の終わりには
誰かが気づいてくれるだろう
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