まぼろしの午後/ホロウ・シカエルボク
 

世界の端っこで
瓦礫にくるまれた
十代の残滓を

山道に捨てられた
切り裂かれたタイヤの
あちこちに散乱した破片を

白紙のノートを
汚すことはもう出来ない
指先のみで
脳味噌だけの絵を描く

コンビニの空袋が
首吊り死体のように
梅の木の枝で揺らいでいる
あまり
気にしなさんな
じきに
さらわれてしまうから

鳥でも脅しているのか
誰かが手を打っている
いらだちのように
懇願のように

誰だって
自分のために生きている
言い訳をしないだけ
鳥のほうが正しい

フライパンの上の六月
眩暈のなかで
ペットボトルの底
わずかに残っ
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