恋昇り12「つながる」/トビラ
た」
一ノ世君との通信を切る。
頭があたたかくぼんやりする。
この数分が、本当にあった時間なのか、不思議に思う。
でも、一ノ世君から託された連絡先の番号がある。
落ち着いて思えば、私はほとんど自分のことばっかりで、 一ノ世君の置かれた状況もよく聞けなかった。
みんなのことも伝えられなかった。
やっぱり、私はダメだ。
でも、それは今に始まったことじゃない。
私がダメなことなんて、私が一番よく知ってる。
だから、私は私に出来ることを精一杯するしかないんだ。
きっと、私の精一杯なんて、全然大したものじゃない。
それでもいいんだ。
それでも、なんとかこうして一ノ世君と、少
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