八分の五拍子/太郎本人
 
も踊らずまっすぐと、つかつかと、無言で彼女に向かっていった。
はたしてひょっとこのお面を被って下半身丸出しの男は、彼女の正面に立ち止まった。
女占い師がひょっとこのお面を被って下半身丸出しの男の下半身についてか、ひょっとこのお面についてか、とにかく明らかに彼を批難しようとしたその刹那、ひょっとこのお面を被って下半身丸出しの男は右手を後ろに回し、腰に差していた蓑ならぬ鉈をやにわに振り上げ、女占い師の脳天を薪割りのようにカチ割る。
えー、とか、おー、とか、きゃー、とか驚愕するギャラリー。(先ほどとはかなり違う趣であるが)
ひょっとこのお面に、丸出しの下半身に、頭の豆絞りの手拭いに、
飛び散る
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