とっぷり/あらい
 
ながい くらやみを のぞいて いく
とても穢れている。賽の河原か
しかし、ならされた靴跡は、軽快だろう
ここまで来た道はもう消えることは無い
往来する人影に寄り添うが かたどるものも、いない
しみったれた黒猫と 蔓延るまなざしは容易く在れ
しかし あれはなんだったか、朧月夜の晩に
かんたんに なく、かわいく なく、いとおしく
だきあげられ、なでつけられる、もの
金の光彩、胸を穿ち、貫射て、消得よ!

鳴り止まぬ銅鑼に苛まれ、奔り続く時の鐘は微か幽か
爪の割れた血縁は沁みて染みて、冷えた唇に薔薇を散らした

紫色の盃に陽を尾として、風に封と覚まし らくにして魅せよ
いじ
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