小詩集・変化/岡部淳太郎
 



変化 4


渡り鳥が群れて飛ぶ
街の灯りが点けられる
群れは次の季節にはいなくなる
灯りは夜明けには少しずつ消されて

どこにも渡れずにたたずむ
一人の人がいる



変化 5


時間は一つの罠である
誰もが次の時を気にして
そのために準備し
変ろうとまでするが

時間はない

おまえはおまえであって
過去も未来も一つ
本当に変り果てたおまえなど
存在しない



変化 6


何一つ変りはしない
人の愛しさも
人の愚かさも同じ
去年の花は
今年の花と同じ
その上を渡る風もまた

そのなかで人は
かすかな変化に脅えて
今日も生きている
そしてふと気づけば
すべてがこんなにも
懐かしくなるのだ




(二〇一七年八月)
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