愚かさの取り分/ホロウ・シカエルボク
イミングで足を差し出す、男はそれに躓いてまた転ぶ
やれやれと俺は窪みから抜け出して男の様子を見る、ぴくりとも動かない…様子が変だ
男の体を裏返してみると、どうやら倒れた先に割れたビール瓶があったらしく
喉の部分にビール瓶の底ががっちりとはまり込んでいた、致命傷なのは明らかだった
俺は表通りには戻らずにそのまま路地を抜けて、人気のない通りを歩いて帰った
住処に戻る頃には午前三時になっていた、すぐにシャワーを浴びて気分を変えた
別に殺したつもりはなかったし、罪悪感というよりは正直爽快感が勝っていた
あの店のマスターは警察に俺の話をするだろうか?あまり心配することじゃない気がした
からまれたのは俺の方だし、警察があの店までたどり着くこともないだろう
俺はすぐにそのことを忘れた、短い眠りが中断されることもまるでなかった
まあ、いろいろと、異論反論はあるだろうけど…愉快な一夜にゃ違いなかったよ
来週の夜まではちょっと楽しい気分で過ごせるかもしれないね、だけど
こんな季節だし傘ぐらいは用意して出歩いたほうがいいみたいだぜ
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