手探り/あらい
 
夜目を利かす空缶の欠伸は止まりそうもない。
おまけについてきた可愛らしいカーボン紙
適度に爪で惹くとたのおしくもある。
何気無しのへのへのもへじ
舌を伸ばしている、漆黒の猫、みたいな。
のび、ひとつ

転がり続けるビール瓶は産卵して顔を顰めた
蒲公英になりたい綿飴は隅っこで風と踊り
今日もまた砕くべき日常に靴跡を合わせ
アパートの柵にかまけた引き出し、洗いざらしの生き様
雑なポストは腹いっぱいでも干されたシーツの滲みも冷えて、
盗れやしない、本当に幽霊屋敷。

喉が乾いているから、水に浸して見る、渋餓鬼のマグ
程解いた てのひらから 吸い寄せたのはどちら様か


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