錆た門扉を叩く/あらい
コンビニのスキマに花屋がある。
だれも気づかないが傷ついた者が営む
代々伝わる一輪の薔薇の行く先へ。
穴だらけのスポンジと刺さり、生贄と栄える、
クサリカケタ海馬に喰まれている、水死体。あなたのことです。
私はと云えば、口笛を吹きながら帰りを待っている。
夕餉足繁く薫る風に知らぬ。人にも満たない命ですから、
流してくれている、その裸電燈の橙だけは認識しているみたいだ。
片時も狂いない青ざめた公衆電話、揺れるマーガレット
冷々と泣き、きっかり喚くもの、さよなら 烏の子
蝙蝠傘で庇っては、雨に濡れても。うたはきこえない
然し、手に取っては何にも成りません。
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