マルコポーロの旅/梅昆布茶
 
抒情という故郷にはもうかえれない
父母を墓苑に棄てた罪状は計り知れない

閉ざされた街に住むと
誰ともつながれないようになる

パッケージされた夕食が配信で済んでしまうのなら
目玉焼きとか魚の焼けた匂いは
何処へ行ってしまうのだろうか

グレゴリオ聖歌が多声の合唱に変貌してゆくように
ヨーロッパも細長い国の日本も変わってゆく

自分だけが変わらないつもりでは生きられない
だれかの返事を待つ必要はないのだとおもいながらも
体をかわすズルさだけは残っている

叙事しかつづれないおとこ
叙情に溶け込んでゆくおんな

聖マルコ寺院
マルコ・ポーロの旅

ベネチアンマスク
寛いだ部屋
いつも一次試験で落ちた自分を想い出す




















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