片道三七〇円/シギ
 
切符を持っておられますか?
差し出してきた手は恐ろしく

何処までゆかれるのですか?
こんな私には判らないのに

掌に握った切符で
何処まで行けるのかも判らない
私は彷徨うだけなの?
片道三七〇円の切符で
何処まで 何処まで 生けますか?

片道三六五円の切符は
五円 切り上げだからと
三七〇円、になり
私は 私は せめて一年の未来へ
行きたい 生きたいのです、と笑う

ゆるーり るらら ゆるりらら
あなたに焦がれ
揺れる 電車は
片道三七〇円の駅まで
私を 連れてゆく
私がいなくとも 線路は続き

線路は いつかは途切れ
私はまた 彷徨うのでしょう

三七〇日の明日
       へ
戻る   Point(1)