震え/ブッポウソウ
 
「ロボットプリン@amaiyo_amai」という名の、ほんとうのストーカーになれる甘美な瞬間!その震えはまるでわななく肩にそっと回される悪魔の腕のように、リウの震える親指に ーリウの手もまた震えているー、4本の指に、手のひらに伝わる。わたしの震え。おまえの震え。
 そしてリウにとってはじゅうぶん不思議なことに、特別調査員でなくなる束の間、リウはこのしごとにめぐり会えて本当によかった、わたしは本当に助かった、と思うのである。わたしがこの世に繋ぎとめられているのはこの瞬間があればこそ、この常軌を逸したともいえるしごとがあればこそ、そしてその嘘の糸をたどってもっと嘘な世界へ越境する瞬間があればこそだ、という気持ちに満たされるのである。

 鉛白色のリウの白目はいまや銀色に光っている。暗いガラス画面の向こうの記号化された四十二人の支援対象者と元支援対象者たちをとらえている。
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