忘れられた一行のために/ただのみきや
 
色も形もない
そんなもののイミテーションが
           風に捲られる音


内なる真空にギュっと収縮して
       とてつもなく酸い少年は

もぎ取る前の無花果へ管を刺す眼差し
顕現しない花を想って身をよじり
         花となっては炸裂する


封印された壜に黄金の蜜
蜜の中で眠る銀の鈴

まろび続ける木漏れ日を
     探る 手の 影




                《2020年5月16日》








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