古い写真は/こたきひろし
 
写真は嫌いだった
カメラを向けられてシャッターをきられるのは嫌いだった
私は顔や姿に自信がない
そればかりではない
衣服では誤魔化しきれない内面の貧弱さ

独り身の時代
異性は私を避けて通りすぎていった

寡黙とは違う
無口で地味で目立たない存在
そして異性からばかりではなく
同性からさえも生理的に受け入れて貰えない存在

いつもどこにいても
いったい何を考えているのか自分自身にも見えてない存在
一人ぼっちの存在
けして狼にはなれない

学校の教室の中にも
一人か二人はいたよね
周囲の空気にけして溶け込めない存在
自然と集団から隔離されて相手にされない存
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