月と火星と初老の男と(改訂)/ひだかたけし
 
冷気が肌刺す深夜だな
まだこんなに冷えるのだな

窓の外では月と火星が
煌々とランデブーし
窓の内では初老の男が
悶々と起きている

この不思議な惑星に生まれて
この不思議な惑星に居着いて
私は今を目醒めている

窓一枚で隔てられ
夜陰の空気に曝されて
月と火星と初老の男と
宇宙の夢見に佇んで

(私達はいづれも
壮大な宇宙の夢の中)









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